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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1456号 判決 1950年11月10日

被告人

木田省三こと

文相徳

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人山内甲子男の控訴趣意第一点について。

適法に証拠決定がなされた後に裁判官に更迭があつても右証拠決定の効力に影響がなく、該決定の施行として証拠調をするに手続の更新をなす要がないものと解すべく、本件において原審第六回公判に裁判官に更迭があつたので所論の如く公判手続の更新が行われたことは記録上明らかであるが、所論の証人平山はな子、平山文治郎の取調については既に同第二回公判において弁護人より請求があり、許容されてその取調をする旨の決定がなされていたのであることは同公判調書により明らかである。従て前記第六回公判以後において(第三、乃至五回公判は右証人等不出頭のため変更)右につき手続の更新なく前記決定に基き右各証人の取調がされたことは所論の如くであるが、右は毫も違法ではない。かくて原判決が右各証言を所論事実認定の資料に供したのは正当であり、結局原審の訴訟手続並に原判決には何等所論の如き違法の点は存しないので、論旨は理由がない。

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